まわりの誰も、まだその話をしていない時期だった。
体調がおかしいと思っても、年齢的にまだ早いよね、と自分で打ち消していたの。
ひどい波のときは2度休職して、いまは復職して働けるところまで戻ってきたよ。
落ち着いたとはいえ、あの「自分だけ何かおかしい」という心細さは、いまでもはっきり思い出せる。
ここに書くのは、何歳からがどうという話ではなくて、わたしの場合はこう感じた、という体験の記録。
体の変わり方も時期も人によってまったく違うから、当てはめないで読んでもらえたらうれしいな。
あれ、と思った最初は、疲れの取れ方だった
寝ても戻らない朝が、月に何度かあった
最初に引っかかったのは、症状らしい症状ではなくて、疲れの取れ方だった。
早く寝た翌朝なのに、体が重いまま起きる日が月に何度かある。
前の日にそんなに動いていないのに、朝から夕方みたいな重さなの。
そのときは寝不足だと思っていたし、まわりにもそう言っていた。
洗面所で顔を洗いながら、今日は午後まで持つかな、と先の心配をしている。
出かける準備をしている時点で、もう夕方ぶんの元気が残っていない感じ。
そういう朝が月に3日か4日、だんだん増えていった。
月に1回なら気のせいで済ませられるのに、増えてくると気のせいにしきれなくなるの。

そのときは、更年期だと思っていなかった
心当たりを探すと、いくらでも別の理由が見つかる。
仕事が忙しい、暑い、年度の変わり目、寝る時間が遅い。
理由が見つかると安心するから、そのたびに納得して終わりにしていた。
体調のほうを疑うより、生活のせいにするほうがずっとラクだったの。
思い当たる理由がいくつもあるうちは、体調の変化のほうを疑わない
だから「なんとなくおかしい」の段階が、わたしはいちばん長かったよ。

まわりに言いづらかった時期のこと
年齢の話になると、言葉が止まった
体調の話をしようとすると、必ず年齢の話になる。
その流れになると、こちらが黙るしかなくなるの。
まだそんな歳じゃないでしょ、と軽く言われるのが嫌で、だんだん話さなくなった。
悪気がないのはわかっているぶん、余計に説明しづらかったよ。
そのうち、体調の話題が出そうになると自分から話を変えるようになった。
気を使わせたくない気持ちと、わかってほしい気持ちが、いつも半分ずつあったの。
同じ時期の人が、まわりに見つからなかった
同じ話ができる相手がいないのが、いちばんこたえた。
職場でも友人のあいだでも、その話題はまだ出てこない時期だったから。
自分だけ違う時間を歩いているみたいで、心細かったのを覚えている。
同じ時期の人が見つからないうちは、記録が話し相手の代わりになる
わたしは、話す相手を探すのをいったんやめて、まず自分の記録をつけるほうに切り替えたの。


早い時期のわたしが、やってよかったこと
体調をひとことだけメモした
やってよかったのは、体調をひとことだけ書き残すことだった。
「今日は重い」「夕方から頭が痛い」。
それだけを、手帳のすみに1行。
続けていくと、自分の中で「気のせいかも」と打ち消していたものが、月に何日あったのかが見えてくるの。
1か月で7日あった月と、2日しかなかった月がある。
それがわかるだけで、自分を責める回数がぐっと減った。
あとで相談するときにも、この1行のメモがいちばん役に立ったよ。
予定の入れ方を変えた
予定は減らさずに、入れ方だけ変えた。
重い日が来るとわかっていれば、そこに大事な用事を置かないで済む。
土曜に予定を2つ入れない、夜の約束を続けて入れない。
これだけで、当日にキャンセルして落ち込む回数が減ったの。
断るのが申し訳なくて無理に行って、次の日に動けなくなるのがいちばんこたえたから。
先に空けておけば、当日の自分が謝らなくて済むんだよね。

ひとりで抱えないで、婦人科で相談した
思い切って婦人科で相談してみたのは、メモを取りはじめて2か月くらい経った頃だった。
予約の電話をかけるまでに、また1か月くらい迷っていたと思う。
何を言えばいいかわからなかったけれど、1行メモをそのまま見せたら話が早かった。
話す言葉が見つからないときは、書いたものを見せるだけでいい
行ったから全部わかるわけではないけれど、ひとりで抱えている状態から抜けられたのが大きかったよ。

いま、同じ時期にいる人に伝えたいこと
年齢で自分の感覚に線を引かなくてよかった
振り返って思うのは、年齢を理由に自分の感覚を打ち消さなくてよかった、ということ。
おかしいと思ったその日の感じは、たぶん自分がいちばん正しく知っているの。
まだ早いはず、と何度も打ち消していた時期は、体調そのものより、その打ち消しのほうが疲れたの。
おかしいと思った日を1行書いておくだけで、自分の感覚を否定しないで済むよ。
不安が大きい日は、見る情報の量を減らした
調べれば調べるほど不安になる日があった。
そういう日は、見る量を減らすほうが早く落ち着いたの。
夜に調べものをしない、と決めておくだけでもずいぶん違う。
残暑の夜は寝つきも悪いから、この時期はとくに気をつけていたよ。
知りたいことがあるときは、明るいうちに調べて、そこで終わりにする。
夜に読んだ情報は、そのまま朝まで頭の中に残ってしまうから。

よくある質問
最初に気づいた変化は何だった?
わたしの場合は、疲れの取れ方だったよ。
早く寝た翌朝でも体が重い日が、月に何度かあった。
これも人によってまったく違うと思う。
だから、誰かの体験と同じでなくても不安にならなくていいの。
1行メモには何を書けばいい?
その日いちばん気になったことをひとつだけ。
「重い」「頭が痛い」「よく眠れた」くらいの短さでいいの。
点数をつけていた時期もあったけれど、わたしには言葉のほうが続いたよ。
長く書こうとすると続かなかった。
書けなかった日は空欄のままにしておいて、あとから埋めないようにしていたよ。
まわりに話せないときはどうしていた?
話す相手を探すのをいったんやめて、記録をつけるほうに切り替えたよ。
書いたものが増えると、自分の中でだけでも整理がついた。
何年かして、同じ話ができる友人が少しずつ増えてきたのも支えになったの。
仕事の予定はどうしていた?
量は減らさずに、入れ方だけ変えた。
1日に大事な用事を2つ置かない、夜の約束を続けない。
これで当日に慌てることが減ったよ。
どうしても外せない日の前は、その前日を空けておくようにしていたの。
相談に行くとき、何を持っていった?
手帳の1行メモをそのまま持っていったよ。
うまく説明できなくても、書いたものを見せれば伝わる。
話す言葉を用意せずに済むぶん、気持ちがラクだった。
待合室で何を話すか考えなくていいのも、思っていた以上に助かったの。
まとめ:まだ早いはず、で打ち消さなくていい
早い時期のわたしがやってよかったのは、1行のメモと、予定の入れ方を変えることだけだった。
体の変わり方も時期も人それぞれだから、誰かの話をそのまま当てはめる必要はないと思う。
ただ、自分の中の「あれ?」を打ち消さないでおくと、あとの自分がずいぶん助かるの。
まわりにまだ同じ時期の人がいなくても、それは早すぎるという意味ではないよ。
手帳のすみの1行なら、しんどい日でも書けるはず。
その1行が、いつか話すときの言葉の代わりになってくれるよ。

